アナログシンセ・ルネサンス(KORG ARP Odyssey,moog Minimoog,DSI Prophet-6などが新規登場するそのワケ)

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出典:http://www.arpsynth.com/jp/arpodyssey/

ソフトシンセが広く普及した現在だが、ハードシンセも再び注目を集め、独自のマーケットを形成し活況となっている。
その中でも大きな存在感を放っているのは、アナログシンセである。
ソフトシンセの対極とも言える製品であり、マーケットの多様性と成熟が感じられる。

アナログシンセのオリジネーターの1つでもあるmoog musicの活況を紹介した『シンセサイザー製造活気』という見出しの新聞記事が話題になったのも記憶に新しい。
さらにはmoog musicは、いよいよMinimoog Model Dを、当時のオリジナル仕様そのままに再生産を行った(若干のモディファイは加えられているが、それは歓迎できる発展的かつ有益なもので、オリジナルMinimoog Model Dの魅力はなんら損なわれていない)。
月産台数など非常に少ない事実上限定的なものではあったが、1971年に登場したあのMinimoog Model Dが、新品で購入可能になったのだ(2017年時点で販売完了)。

DSI(Dave Smith Instruments)社が往年のSEQUENTIALブランドでリリースしたProphet-6も非常に素晴らしい。
往年の名器Prophet-5の直系と言ってさしつかえない内容で、出音も魅力的。
しかしながら同時に、上記のmoog musicによるMinimoog Model Dのリメイクよろしく、この際SEQUENTIALブランドでProphet-5そのものを再生産してくれないだろうか、という希望も抱いてしまう。
Prophet-6は、Prophet-5より発展した面も多いが、ノイズ系のモジュレーションなど、Prophet-5のほうが充実している面もあるし、
なによりProphet-5はトータルデザインが非常に秀逸で素晴らしく、今なお非常に魅力的なアナログシンセにして「楽器」である。
なので、鍵盤はProphet-6同様の近年の高品位な物を使用し(Prophet-5は鍵盤機構が非常に繊細で、タッチは良いが、そのコンディション維持とメンテナンスには神経質にならざるをえない)、
オリジナルではその名称通り5音である同時発音数を8〜16音程度に増やすなど(けれど名称は「Prophet-5 Rev.2」等々、ぜひProphet-5のままで!)、
実用面を強化し、根幹的な部分には干渉しない有益なアップデートを果たした「現代品質のProphet-5」がもし登場したら、それが結構な高価だったとしても、購入するユーザーは多くいるのではないかと思う。
(Prophet-5に関する、このような夢想を抱くユーザーは、世界的に多く存在すると思う。)

KORGによる往年の名シンセARP Odysseyのリメイクや新世代アナログシンセminilogueとmonologueの好調な売れ行き、
世界的に様々なメーカーからユーロラック規格によるアナログシンセ・モジュールが発売されている状況など、他にも好況を示す例は枚挙にいとまがなく、
アナログシンセは、ここへ来て一層のニーズを生み出し、再評価を超えて、定番化、さらには一層の進化すら遂げている。

では、なぜ、今アナログシンセは “キテいる” のか? その魅力の核心はなんであろう?
シンプルかつ根源的な理由が、そこにはあると感じられるのだ。

現代のアナログシンセは、往年の物と比べ、多彩な機能を持ち、ピッチなどの安定性も改善され、扱い易さが向上している。
しかし依然、ソフトシンセと比べると、機能的にも音色の数量的なバリエーションでも劣ることは明らかで、メモリー機能を持たない機種ともなれば制作上のトータルリコール性も低く、おしなべて利便性で選ばれる製品でないことは明らかである。

さらには現在、ソフトシンセによるアナログシンセのエミュレーションは非常に高度となり、もはやアンサンブルの中に於いては、ソフトであるかハードウェアのアナログ実機であるかは、判別困難なレベルにある。

それでもなお、アナログシンセが大きなニーズを生み出しているのは、なぜか?
その要因は、

1. 音色の微妙な質感は依然ソフトシンセとは異なる(音色変化の過度特性や、急峻なレゾナンス特性など)
2. 実装されたツマミを操作した瞬間に生理感覚に訴えてくる、素早いレスポンスと印象的な音色変化、それを効果的に駆使したライヴ性
3. ごく単純に、フィジカルに触れられる物としての質感・デザインの魅力

この3点に集約できるだろう。
つまり、高度で便利な制作ツールという枠組みでなく、より「楽器」として受け入れられ、求められているのだ。

極論すれば、音楽制作そのものに付与するシンセサイザーとしては、もはやソフトシンセのみでも可能である。
しかし、可能であることと、よりステキかどうか、面白味や深みがあるかどうかは、また別の趣の話だ。

とにかく、使用していて楽しく、その音色が心地良く琴線に触れるのが、アナログシンセの魅力なのだ。
そして、そのヒットが、現代的なブランディングによるものではなく、
製造側の物作りの熱意と、顧客側のニーズの純粋さ、この2点から生じたことも注目すべき要素である。
KORGの技術者のエピソードやインタビューなどは、もはや『情熱大陸』さながらだ。

たくさんのツマミを実装し、明滅するLEDが綺麗なアナログシンセは、ステージやスタジオにあるだけでも楽しい・・・!
実機のツマミやスイッチや筐体の質感に触れ、音色の質感を聞けば、その奥行きある魅力を瞬時に感じて頂けることだろう。

Image Credit: KORG INC.

関連リンク

KORG ARP Odyssey
http://www.arpsynth.com/jp/arpodyssey/
KORG minilogue
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue/
moog music Minimoog Model D
http://www.korg-kid.com/moog/product-details/minimoog-model-d//


 

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umaiyan ex

音楽制作ツールと自転車、そして、あらゆる音楽、アート、ポップカルチャーを愛しています。冨田勲と乃木坂46とPerfume(観客が数十人程だった時代からライヴへ通い続けています)への愛は現在ストップ高です。日曜深夜は乃木坂ちゃんから連続アニメまで、テレ東さんの魔力で眠れません。

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