nord lead 特長と魅力(前編)


出典:http://www.nordkeyboards.jp/products/nord_lead_2x/

初代nord leadの登場は、衝撃であった。
実際、登場後すぐさまライブ映像やスタジオ写真などで多く見かけるようになり、驚くべきスピードで浸透していった。しかも、特定のジャンルに限らず、様々なジャンルのミュージシャン、多様多彩な制作現場に歓迎されたのだ。

1995年、彗星のごとく現れたその楽器は、アナログシンセをデジタル演算でエミュレートするというコンセプトを具現化した、最初の製品であった。
最初の製品であるだけにとどまらず、そのスタイルも高度に独自なものとして完成され、非常に魅力ある「楽器」として成立していたのだ。

歴代のnord leadを、そのリリース順に記すと、nord lead・nord lead 2・nord lead 3・nord lead 2X・nord lead 4・nord lead A1となり(初代の名称にはnord lead「1」というようなナンバリングは無い)、どのモデルも「楽器」として素晴らしい魅力を持っている。

今回は主に、デザイン面を中心に、その特長と魅力に言及してみよう。

筐体は、高級感とキュートさが交差する絶妙な色調の赤で塗装され、さらには筐体下部は黒に塗装されていることにより、そのコントラストが、全体としては「赤い楽器」という印象を倍加させている。
赤系の筐体を持つシンセは、僅かながらnord lead以前にもあり、そしてnord lead以降にも存在するが、nord leadの赤は、そのデザインと相まって、独特かつ王道的な赤で印象鮮烈、“赤いシンセ”と言えばnord leadのことであると言える存在感を持ち、定着している。

初代nord leadの、特徴的かつ実用的な、操作性に優れるパネル・レイアウト(スイッチやノブなどの配置)は、創業者ハンス・ノーデリウスによるもので、それを当時、CLAVIA社と仕事していたグラフィックデザイナーがデザインとして仕上げたのだが、そのデザイナーが当初設定していた筐体の色は、黒だったという。
最終的に筐体の色を赤にしたのは、創業者はじめCLAVIA社側の判断で、それは英断であったと言えるだろう。

初代nord leadの筐体色が赤であったことは、非常に大きなインパクトとなり、それは現在までの20年以上に渡って、nord(CLAVIA)社の楽器といえば「赤」と言えるほどの、ブランドを代表するイメージカラーとなっており、ステージなどでも非常に映え、高い存在感を放つ要素となっている(2017年現在、CLAVIA社のブランドネームは「nord」に統一されている)。

現行最新(2018年時点)のnord lead 4とnord lead A1に於いても、赤いカラーリングはもちろん、そのデザインも基本的に踏襲されており、初代からデザインの完成度は非常に高かったと言えるだろう。
塗装の質感は、初代nord lead・nord lead 2・nord lead 3はツルッとした表面で、nord lead 2X・nord lead 4・nord lead A1は結晶塗装的なこまかくザラついたような表面になっている。

好みの範疇ではあるが、デザインのスッキリした印象に於いては、初代が最もシンプルな美しさを有しているとも思える。
nord lead 2以降、最新のnord lead 4 & A1まで、筐体表面パネルほぼ中央位置に、SHIFT/SYSTEM/MIDIなどの機能一覧がプリントされるようになったが(最新型程そのプリントされる情報量が増えている)、初代nord leadにはその機能一覧がプリントされておらず、各ツマミの機能名称表示に使用されたフォントも含めて、初代nord leadは最もスッキリした印象を見る者に感じさせる。

SHIFT/SYSTEM/MIDIなどの機能一覧を筐体にプリントしておくのは、いざという際に便利な場合もあるかと思うが、そのようなケースはほとんど無く、デザイン性重視で機能一覧は筐体にプリントしなくても良いようにも個人的には思う・・・が、もしかしたら、あのプリントもデザインとして好きだという人もいるかもしれないと思えるほど、近年はデザインの一部とも化している。

例外的に、noerd lead 3には、SHIFT/SYSTEM/MIDIなどの機能一覧は、初代同様プリントされておらず、ロータリーエンコーダーとその周りに配されたLEDによる他に類を見ない視認性の良さなども含めて、nord lead 3は、シリーズ中、特異的な美しいデザインを持ったモデルだと言える(その特異さは、シンセサイザー・シーン全体から見ても、革新的かつ、非常に優れたユーザー・インターフェースと言えるものである)。

(上から、初代nord lead最後期型・nord lead 2・nord lead 3)

さらに、そのディテールには、石のような質感に加工されたアルミ製のモジュレーションホイールと、木製のピッチベンダーという、従来のシンセの常識からハッキリ逸脱したデザイン要素を持ち、それらは実際nord leadの特徴として多く語られ、操作性の良さにも付与しており、最新のnord lead 4 & A1にも、そのまま継承されている。
この、モジュレーションホイールをアルミ製にして石のような質感に加工するアイディアと、木製のピッチベンダーは、創業者によるデザインで、
特に、木製のピッチベンダーはパテントが取得されており、そのアイディアは、スウェーデンの戦闘機のコントロール・スティックから着想を得たのだという。

そのピッチベンダーは、初代nord leadからnord lead 2まではエッジがシャープな木製であるが、nord lead 3以降はエッジが丸められた木製になり、指を置いた際の感触がソフトになっている(良い悪いではなく、好みは分かれるところだと思うが、物としての質感はnord lead 3以降のエッジが丸められたピッチベンダーのほうが向上している)。

(初代nord lead モジュレーションホイール&ピッチベンダー)


(nord lead 3 モジュレーションホイール&ピッチベンダー)

初代nord leadは、筐体の右後端と左前端が切り落とされたように傾斜した形状になっており、それもデザイン上の大きな特徴の1つで、初代nord lead登場時に大きな話題となった形状なのだが、それは金属を曲げて加工したような単純なものではなく、2つの金属パネルを組み合わせ、手作業で溶接して成形するという、非常に手の込んだものであった。
その加工ができる者は、社内にたった1人しかおらず、生産性の問題でnord lead 2以降は傾斜した形状は無くなりオーソドックスな形状となった。
実は、初代nord leadに於いても、最後期型は、右後端は傾斜しておらず、左前端のみが傾斜しており、ツマミが並ぶ操作部分の色調も紫系になっている(最後期型以外の初代nord leadの操作部分の色調は濃い青系)。
初代nord leadの最後期型は、ツマミのしっかり感も向上し、台数的にも非常にレアなモデルである。

傾斜した形状が無くなったnord lead 2以降のモデルの筐体形状は、初代に比して簡易化されたとも言えるが、結果、視覚的に安定感ある形状になったとも言え、ツマミのしっかり感はさらに向上し回転感も滑らかになり(厳密には、生産時期によりツマミの回転感は異なる製品が存在する)、工業製品・楽器としての完成度は向上している。

(初代nord lead最後期型の左前端の傾斜がよく判るカット)

総じて、初代nord leadから、最新のnord lead 4 & A1まで、その基本デザインは、一貫性ある、息の長いものとなっている。
全体として、如何にも北欧スウェーデン製と連想させる、物としての魅力、楽器としての存在感に満ちており、色褪せることが無い。

関連リンク

nord(本国 英語ページ)
http://www.nordkeyboards.com


 

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umaiyan ex

音楽制作ツールと自転車、そして、あらゆる音楽、アート、ポップカルチャーを愛しています。冨田勲と乃木坂46とPerfume(観客が数十人程だった時代からライヴへ通い続けています)への愛は現在ストップ高です。日曜深夜は乃木坂ちゃんから連続アニメまで、テレ東さんの魔力で眠れません。

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