【コラム】声優の仕事と報酬、厳しい現実と成功への道…

声優のしごと

2019年末、日本の声優業界のトップクラスに位置する声優「大塚明夫」(おおつかあきお)が、東洋経済にてある記事を寄稿し、話題騒然となった。

「日本の声優は今、300の椅子を1万人以上が奪い合っている」

日本は世界に名立たるアニメ王国、同時に声優王国でもある。
だが今の業界は供給過多、声優は飽和状態になっているという。

厳し過ぎる競争下に置かれた声優の未来はどうなっていくのか、これから声優を目指したい若者のために情報をまとめてみた。
ぜひ参考にしてほしい。

声優の仕事と報酬の形態とは

まず声優は「声の仕事(アフレコ)をこなすプロ」という意味で、広くいえばタレントである。
(ミュージシャン、俳優、モデルなどと同様、身体を商品とする仕事)

冒頭で挙げた大塚明夫の言葉を借りると、「サラリーマン」と違って「声優」は存在しないに近い肩書だという。
例えば一時的に人気作品に参加できたとして、以降1年間ろくに目立つ仕事がなかった人を声優と呼べるのか、という厳しい自問自答なのだろう。

とはいえ「声優の仕事」とは「アフレコ」であり(ナレーションを含める場合もあるが、ナレーターもいるので、ここではアフレコ1つと定めたい)、アニメや海外作品の吹替を担当すれば立派な声優業である。

形式だけで簡略すると「声優がアフレコを担う」→「制作会社がギャラ(出演料、仕事料)を払う」この流れ一つだ。
(その場で封筒に入った現金を貰う「取っ払い」、銀行振り込みなど含む)

声優として力を認められた方が歌手やアイドルを兼業するのは珍しくなく、また別ジャンルだった芸能人が声優もこなすパターンも多い。
一見は職人的な仕事だが、実は現代ではすでにタレントの一種として認識されているのだ。

余話を挟むと、ドラえもんの声優「大山のぶ代」や、悟空(ドラゴンボール)の声優「野沢雅子」などは「声優は元々顔で売るような仕事じゃないし、人前にも出なかった」とテレビで語っていた。
声優はそもそも裏方だったのだ。

だが今はもはやタレント業として、マネージメントやイメージ戦略、ブランディングなども影響し、職人肌の声優が台頭しにくい状況になっている。
もし、声の仕事一本で飯を食っていくと息巻く方がいるなら、よほど力量があっても困難なことを覚えておこう。

声優のギャラ事情(ジャンル別)

夢とロマンで目指す方には無関係かもしれないが、いずれは家族も養いたいと思う方が当然気になるのが「ギャラ事情」だろう。

すでにメディアや雑誌媒体などで声優もギャラの概算が知られている。
一般的にいわれる額をジャンル別にまとめてみた。

声優はランク制・アニメのギャラは15,000円~

声優の仕事のメインとなる「アニメのアテレコギャラ」についてだが、声優独自の仕組みをまず説明したい。

声優は、経験や実績に応じて「ランク制」が敷かれ、ギャラの目安となっている。
デビュー(声優学校卒業、プロダクション所属)から3年間は「ジュニアランク」となり、以降は「ランカー」となってランク15からスタートし、16、17、と増えていく。

これは最もポピュラーな仕事「30分アニメ1本の出演料」から名付けられている。
ジュニアランクは15,000円、ランク16なら16,000円、17なら17,000円となり、最終的には45,000円までアップできるという。
(上限なしのトップ声優も存在する)

さらに予告編(CMなど)に声が入ればギャラは加算され、60分の放送なら「時間割増」、再放送やDVDパッケージなどに派生すれば「転用料(2次使用料)」が発生する仕組みだ。
1本の仕事で15,000円なら日給としては恵まれているが、週給としたら物足りない、微妙な金額だ。

上記の仕組みが裏目に出て、ギャラの高い声優を起用しなくなる事態も過去には何度もあり、業界がその度にランク付けを見直すなど対応してきた。

「最初のうちはギャラが安いのでたくさん仕事を貰える。そのうちにランクが上がると呼ばれなくなり、次の新人が多数起用されている」

これはある新人声優が言った信じ難い話だが、実際に起こったことだ。

弊害は「ベテラン以上の力を持った声優」が生まれなくなること。
こんな事態が許されるのはせいぜい若さを武器にできるアイドルくらいだろう。
芸術的観点からすれば憂慮すべき事態だ。

ゲーム・海外映画やアニメ吹替・ナレーションなどのギャラは〇〇円

多くの声優が、アニメアフレコの他にこなすのが「ゲーム」「海外映画」「海外アニメ」「ナレーション」などだ。

・「ゲーム」における声優のギャラは「文字数」「セリフ数」に応じて定める場合が多いという。
作品にもよるが、上手くこなせばアニメかそれ以上に稼げるようだ。

・「海外作品」の吹き替えアテレコは、1作あるいは1話でギャラを定め、アニメよりも高額になる場合が多いという。
「海外作品は事前のリハーサルや自宅での自主練もアニメ以上に大変なので、実際の時給換算はそれほど良くない…」というのはまたも大塚明夫の言葉。

・「ナレーション」は放送する媒体によってギャラが幅広く定められるという。
例えば地上波のテレビ番組のナレーションなら、大手企業のスポンサーが付くので1本録って数万円にもなるようだ。
だがネット配信やチェーン店舗などの企業放送(スーパーやコンビニの放送、もっと小規模な媒体も含む)だと、千円程度の場合もあるとか。

・「ラジオ」は1本のギャラ制で、数千円から1万円が相場という。
声優でラジオ番組のパーソナリティを務める方は非常に多く、身近な仕事といえるだろう。

声優として成功を目指すあなたへ

ここでは声優の仕事の形態やギャラ事情などをまとめてみた。
この記事では多くの有名声優のインタビューや発言などを元にし、具体的な数字も挙げたが、時代や景気によって常に変動することも覚えておこう。

ただ念頭に置いてほしいのは大塚明夫の「声優は儲からないよ」という言葉だ。
Youtubeやニコニコ動画など個人の配信もフリーになり、名を挙げるには様々な手段があるので、工夫は必須だろう。
これから声優を目指す人も、今まさに声優の世界で戦い続ける人も、ぜひ参考にしてスマートな声優ライフを謳歌してほしい。

参考サイト

■声優業界情報局「声優の収入事情!給料と年収について」
https://www.amgakuin.co.jp/contents/voice/column2/debut/become/income
■東洋経済オンライン「声優に憧れる人が知らない「厳しい収入事情」 大塚明夫「多くの声優はローンが組めない」」
https://toyokeizai.net/articles/-/321704
■書籍「声優魂 / 大塚明夫」
https://www.amazon.co.jp/dp/4061385674

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ヤマグチ

ヤマグチ

ライター / 作家名「山口歌糸」/ オフィスウタイト代表 / 竹取物語に関する評論文で「市民文芸ふじのみや第46号 随筆の部」優秀賞。MyuPlaではPR記事とリリース記事を担当。元音楽経験者。音楽系専門学校卒。

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