宇多田ヒカル「Fantôme」

現在、音楽業界を賑わしているCDといえば、宇多田ヒカルの最新アルバム『Fantôme』である。
4週連続1位を獲得し、その勢いは1998年の1stアルバム『First Love』に負けずとも劣らない。
約5年の「人間活動」を経て復帰作となった本作には、やはりその才能に脱帽させられた。

作詞作曲はもちろん、編曲・プログラミングまで行う彼女の音楽性の幅は、より広がりを見せたかのように窺える。
独特のコード感と哀愁漂うメロディ、時に現れる不協和音のストリングスなど、現代のEDMのエッセンスや生音をミックスした彼女独特のアレンジ、ストーリー性のある歌詞。
日本語も英語も堪能な彼女が、改めて日本語のすばらしさに気づいた上で制作したという本作では、ぜひ日本語の美しさにも注目して聴いていただきたい。

宇多田ヒカルの音楽には、その歌声なのかサウンドなのか、心の奥底を抉られるような感覚を覚える。
それは、時に切なく孤独を感じることもあれば、静かであたかかい愛情や優しさを沸き立てることもある。
そのような誰にでもある多面的な感情を、彼女は一枚のアルバムですべて表現しているように思う。
今作では、椎名林檎、KOHH、小袋成彬という3人のアーティストを招いて制作した楽曲も含まれているが、それらも彼女の音楽へのアンテナの高さを感じさせる。

16歳の衝撃的なデビューから時を経て母親になり、溢れる才能を今なお音楽に凝縮して発表し続けてくれる彼女を、これからも応援し続けたい。

■宇多田ヒカル「Fantôme」
2016年9月28日(水)発売
SHM-CD/TYCT-60101/税抜価格:3,000円
【収録曲】
01. 道 (サントリー天然水 CMソング )
02. 俺の彼女
03. 花束を君に (NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」主題歌)
04. 二時間だけのバカンスfeaturing 椎名林檎
05. 人魚
06. ともだち with 小袋成彬
07. 真夏の通り雨 (日本テレビ「NEWS ZERO」テーマ曲 )
08. 荒野の狼
09. 忘却 featuring KOHH
10. 人生最高の日
11. 桜流し (「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」テーマソング)

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MAI

作曲、ピアノ、コーラス、たまに作詞。レッスン、サポート、楽曲提供などを生業としています。 いろいろやってたら27歳になりました。時の流れ怖い。 音楽活動以外、外に出ません。現場から直帰するいい子◎

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